注目のリヤドアの追加は、ホイールベースを340mm延長することで実現。ホイールベースの延長分をほぼ後席の居住性向上に使ったことで、コンパクトSUVらしい居住性の高さを確保したのも特徴だ。
これは単純にボディをロング化したからではなく、後席ヒップポイントを50mm後方に移動することでレッグスペースを拡大。リヤシートの乗員間距離を90mm拡大しているため、十分な居住性を実現することができたというわけだ。また、リヤドアの内張下部を薄くすることで、乗降性を大きく左右する足抜き性も向上させている。

▲インパネデザインはシエラとノマドはほぼ共通だがフロントコンソールボックスには5ドアの証しとなる後席パワーウインドウスイッチを追加

▲4速ATのステアリング右側スポーク部にはアダプティブクルーズコントロール(標準)操作スイッチをレイアウト

▲もちろん副変速レバーも採用。2H(2駆高速)と4H(4駆高速)、ジムニーらしい駆動力を高める4L(4駆低速)を確実に切り替えられる
後席の足元スペースや幅が拡大

▲①ホイールベース延長で後席足元スペースを大幅に拡大し、リヤタイヤのホイールハウスが後方に移動したため後席幅もワイドになった。②後席を倒す(5対5)と荷室フロアとの段差ができるが荷室スペースはシエラよりかなり広くなった。③シエラに比べ大きな荷物も積載可能。④車中泊には工夫が必要だ
アウトドアユースでうれしいのはラゲッジスペースの拡大だ。ベースのシエラでは4人分のキャンプ道具を積載するのは難しかったが、ノマドはラゲッジフロアを350mmも拡大しているため、4人分の荷物を積載することができるようになった。リヤシートを畳まなくてもテントや折り畳みチェアなどを積んでキャンプに行くことができる。

▲⑤後席を使ったままでも4人分の荷物を制裁可能になった。⑥後席を倒して2人乗車にするとかなりの荷物を積むことができる。⑦助手席まで倒せばサーフボードなどの長尺物でも室内に積載可能だ
本格4WDのコンパクトSUVとして発売から大人気となったが、残念ながら受注開始からわずか4日でオーダーストップとなってしまった。正式発売は4月3日だから発売2カ月前に注文できなくなってしまったのだ。スズキは販売計画台数を大きく超えた約5万台を受注したため一時的に停止したという。
ノマドはインド製のモデルのため輸送に時間がかかることと各地の輸出先でも人気が高いため、日本向けだけ生産を拡大することは難しいのだ。だがシエラの好調な販売でノマドが爆発的な人気車になることは予見できたはず…と首をひねりたくなるが、受注再開を待ちたい。

▲エンジンはシエラと同じ1.5L直4の自然吸気を採用。K15B型エンジンは出力102馬力、トルク130Nmとスペックも従来と同じ。飛び石対策としてベルトカバーを装備

▲左側ドアミラーには側方下部を映し出す2面アンダーミラーをビルトイン。凍結時でも素早く解氷できるヒーテッドタイプを標準装備

▲プロジェクター式LEDヘッドライトには雪や泥を洗い流すヘッドライトウォッシャーを装備
<文/丸山誠(モータージャーナリスト)>
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