
▲フォーミュラ導入初年度は4カ国20人のドライバーが参戦するKYOJO CUP
新たなマシンは、FIA-F4相当のシャシー「KC-MG01」に、1.4ℓのターボエンジンにハイブリッドシステムを搭載したKYOJO CUP専用の新型車両を採用。F1やスーパーフォーミュラも採用する安全装備のHaloを標準装備し、タイヤはブリヂストンのワンメイク。
しかも、イコールコンディションを保つため、車両はKYOJO CUPで一括管理してメンテナンスを行うとともに、レースウィーク中もタイヤの内圧とスタビライザーの調整のみとなっている。
開催初年度となる今年は、富士スピードウェイで5大会全10レースの開催を予定する。各大会は、土曜日に20分間の予選が行われ、その結果により決定したグリッドで同日に10周のKYOJO Sprintというレースを開催。
そして日曜日に、KYOJO Sprintの結果で決まったグリッドで12周のKYOJO Finalが行われる。各大会のポイントは、予選トップ3に3-2-1点、KYOJO Sprintの1〜8位までに10-8-6-5-4-3-2-1点、KYOJO Finalの1〜10位に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1点が与えられ、合計ポイントでシリーズチャンピオンが決定。文部科学大臣賞が授与される。
しかも、各大会のKYOJO Finalの優勝賞金、シーズンチャンピオンシップ1位の賞金はともに150万円となっている。参加ドライバーは、学生、会社員、主婦などに加えて、海外からの参戦者もいる。

▲KYOJO CUP開幕大会のKYOJO Finalスタートシーン
その開幕大会が、5月10〜11日に富士スピードウェイで開催された。開催にあたり関谷正徳プロデューサーは、「世界の女性ドライバーが憧れる環境を日本で作っていきたい」と語っていたが、その言葉通り日本、アメリカ、タイ、中国と4カ国20人のドライバーが参戦。

▲参戦ドライバーのレベルは高く、コースの至るところでバトルが繰り広げられた
5月10日に行われた予選は、雨のためウエットコンディションとなったが、激しいタイムアタック合戦が繰り広げられ、FIA-F4にも参戦する下野璃央がポールポジションを獲得。
同日の午後に開催されたKYOJO Sprint は、曇り空になったものの路面コンディションはドライとウエットの場所が混在する難しい状況となった。そのため、セーフティーカー先導によるスタートとなり、4周目からリスタートが切られて先頭の下野が好ダッシュで後続を引き離していく。
下野はそのまま自分のペースで周回を重ねていき、最終的に2位の翁長実希に9秒638もの差を着けて優勝。3位表彰台は、全日本ラリー選手権にも参戦する平川真子が獲得した。
翌11日のKYOJO Finalは、前日のKYOJO Sprintの結果でグリッドが決定したため、下野がポールポジションからスタートとなる。この日の天候は晴れとなり、ローリングスタートとなり、下野がここでもスタートダッシュを決める。
下野のレースペースはライバルたちよりも速く、5周目にはレースファステストとなる1分45秒928と唯一の45秒台をマーク。結果、下野はKYOJO Final でも2位の翁長実希に9秒175の差を着けて優勝を果たした。
圧倒的速さを見せて優勝した下野は、「参戦4年目のKYOJO CUPでやっと初優勝ができ、フォーミュラ初年度の開幕戦という記念すべきレースで結果を残せたことが素直に嬉しいです」と語る。
この日も2位に終わった翁長は、「トップとバトルをできなかったので、次戦は接近戦ができるように頑張ります」と、次戦でのリベンジを誓う。そして3位表彰台は、17歳の現役高校生である佐藤こころが獲得し、「まずは目標の表彰台を獲得できて嬉しいですが、トップとの差を縮めるため次戦までに練習を頑張ります」と語っていた。
開幕大会を振り返ると、下野が他を圧倒する速さを見せたが、次の大会まで約2カ月のインターバルがあるため、ライバル達はその間に練習を積み重ねることで差が詰まってくる可能性は高いだろう。

▲開幕大会KYOJO Finalの表彰台。優勝は下野璃央、2位は翁長実希、3位は佐藤こころ

▲ポールポジション、Sprint 、Final、ファステストタイムとDr.Dry with Team IMPULから参戦する下野が開幕大会で圧倒的強さを見せた
レース全体のレベルも高く、各ポジション争いでバトルが展開されるなど見所盛りだくさんなので、KYOJO CUPに今後も注目したい。
■2025年KYOJO CUP 開催スケジュール
Rd.1 5月10-11日 インタープロトシリーズ
Rd.2 7月19-20日 スーパーフォーミュラ
Rd.3 8月16-17日 インタープロトシリーズ
Rd.4 10月10-11日 スーパーフォーミュラ
Rd.5 11月9-9日 インタープロトシリーズ
*開催場所はすべて富士スピードウェイ
<文/茂木康之、写真/KYOJO CUP>
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