
▲製品版の“ミラクルハンドミニ”。右ハンドル車でも、発券機への幅寄せが楽になると説明書きがある
写真では箱と一緒に写してあるのが製品版で、手元のトリガーを引くと先端のワニ口状の部分が開き、発券機のスロットから出てきたチケットを挟んで引っ張って取る、いわばマジックハンド的な使い方のものだった。
僕は当時、確かカー・グッズプレスの記事ページと同じように、この現物をヤナセから受け取って取材や撮影をし、どこかで記事にしたのだったと思う。
写真にはもう1本、スケルトン状のものを写してあるが、実はコチラは試作品で本来は門外不出だったはずのもの。今回お見せしている製品版とは微妙に仕様が違い、先端部分がロッドアンテナ式になっていて伸ばしても使えるようになっていた。
ピン! と来る方もいるかもしれないが、左ハンドル車でクルマの右側の発券機のチケットを取るために発明(!?)されたタイプだったのである。この試作品のほうも多分、製品化されたはずだが、正確な記憶はない。
今はETCやナンバー読み取りシステムがほぼ常識。なので、こんなジョークのような製品はなくても不自由な思いはしない。が、当時は確かに〝困り事を解決してくれそうな商品〟だった。
記憶が確かなら、当時僕は左ハンドルのクーペで天井も低い中古のVWシロッコに乗っていて、そこでヤナセから〝実際に使って感想をフィードバックせよ〟と言われたのかもしれない。
けれど使ってわかったのは、長い傘を狭い車内で扱うのと同じように、ロッドを伸ばした長い状態では、チケットは受け取れてもそれを長いまま車内に引き寄せてチケットを先端から紛失しないように外して…と、たいそう手間がかかったことだけはよく憶えている。
そもそも、人のいる料金所の場合、年配の相手に向かってこんなものをいきなり差し出すのは人としてどうなのか!? との思いも。
なので、今回ウン十年ぶりにこの記事で紹介するまで、ずっと机の引き出しの中だった。

▲先端のポケットにはコイン6枚が入れられるようになっていた。ほかに釣り銭受け取り用の袋状のものの用意もあった憶えがあるが…

▲こちらは試作品。3段のロッドを伸ばした状態で全長は約80cm。狭い車内での扱いは大変だった
<取材・文/島﨑 七生人>
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