さて、中倉山への登頂の後は、その先の稜線へ進みます。
西側正面に見える沢入山に向かって見晴らしのいい稜線が続いています。この稜線が「足尾アルプス」とも呼ばれる中倉山(中倉尾根)の真骨頂です…が、これって森林限界を超えたわけではなく、煙害で木々が枯れてしまった結果の眺めなのですよね。気持ちのいい光景ではありますが、ちょっと複雑な思いにもなります。

▲山頂から緩やかな下り傾斜を進みます
10分ほど進むと鞍部にでます。おぉっ! そこに立つのは…

▲周囲は近づき過ぎを防止するためかロープで囲われています
「孤高のブナ」ですね。
樹高は約12m。推定樹齢は125年以上だそうです。足尾銅山による煙害がおよそ120年前とのことですので、まさに煙害の生き証人ですよね。
緑の低い草の中、ポツンとたたずむその姿はまさに孤高…。

▲孤高のブナの立つ鞍部から西に向かっての眺め。核心部の岩場は南側に巻く(危険箇所を回避すること)こともできます
さてさて、「孤高のブナ」に会いに行くという今回の山行の最大のミッションを達成しましたので、このコースのもうひとつのお楽しみであるアルペンムードたっぷりの稜線歩きに移りましょう。
写真手前の切り立った岩場が今回の核心部(ルート中の一番難しい箇所)といえる場所で、他は歩きやすい道が続きます。

▲よく見ると、稜線の北側(写真の右側)の松木渓谷に落ち込む北側斜面に対して、南側の斜面には緑が戻ってきているのがわかります。植林による緑復活の取り組みがなされているとのことです
少々ガレた路面もありますが、道も明瞭。稜線歩きなので多少のアップダウンはあるものの、気分よく進めます。

▲国民的アニメに登場するおとーさんの頭部に見立てているもよう
孤高のブナから30分ほど歩くと、ひとつのピークに到着しました。標識には「波平ピーク」とあります。
ピーク上に積み上げられた岩に一本の枯れ枝が突き立てられていますが、コレが名前の由来なのでしょうか? レポーターが訪れた時には、枝が傾いちゃっていましたが…。

▲写真の真ん中が本日の折り返しポイントの沢入山
波平ピークから今回のコースの最高標高地点である沢入山を眺めます。あぁ、あともうひと登りあるんだなぁ。

▲ピーク上には三角点があります
10分ほどで沢入山に到着しました~ッ。標高1704mのピークです。