このようにコンセプト的にはナビの理想に近いものだったが…KDDIのCDMA2000 1xの通信網は当時最速クラスではあるものの、実際の操作レスポンスはスタンダードなDVDナビより少し遅い程度。
さらに現在のように携帯電話をどこでも使えるインフラは整っていないため地方では通信圏外になることがあり、ルート探索を使用できない(通信圏内に入った時点でルート探索を行う予約機能がある)などの機能制限が発生するケースも見られた。
そして通信を標準搭載しているため、通信料を含めたサブスクのような特殊な月払いの購入方法が設定され、3年間は月々3980円+ボーナス時1万5000円で、4年目以降は月々1980円などのプランとなっていた。これもわかりにくく割高感もあったようだ。
先進性や利便性にあふれるエアーナビだったが、実際の運用については上記のようにユーザーを選ぶようなところがあり、利用者を増やすことはできなかった。

▲2008年にリリースされたエアーナビの第2世代となる「AVIC-T10」。通信モジュール対応ポータブルナビというスタイルに変化
とはいえ、この苦い経験を生かして2008年には第2世代となる「AVIC-T10」が登場。基本的なコンセプトを受け継ぎつつもポータブル型ナビに外付け通信モジュールを組み合わせ、内蔵メモリーと通信のいいとこ取りをしたハイブリッドスタイルへと進化した。
その後エアーナビは2012年に楽ナビシリーズに統合されるとともに「楽ナビ(ポータブルタイプ)」と名を変え、多くのユーザーから歓迎される人気モデルへと成長した。
<文/浜先秀彰>
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