
▲標識や案内板がありますが、特徴的な地形ではないですね…
ありました! 「日本で海岸線より一番遠い地点」です。けっこうハイペースで登って来ましたので、1時間とちょっとで到着しました。
現地には案内板があり、この地点の意味が解説されております。それによると、中心点は北緯36度10分36秒、東経138度34分49秒で、標高は1198.654m。この場所から海岸線までは以下の距離があるそうです。
・静岡県富士市田子の浦港まで 114.853 km(太平洋側)
・新潟県上越市直江津まで 114.854 km(日本海側)
・神奈川県小田原市国府津まで 114.862 km(太平洋側)
・新潟県糸魚川市梶屋敷まで 114.866 km(日本海側)

▲写真手前の石は誰が置いたのでしょう? ご愛敬ですかね…
1級公共基準点も設置されております。
さて、「日本で海岸線より一番遠い地点」を訪ねるという最大のミッションは達成しましたので、これで引き返してもよかったのですが、せっかくここまで登ってきたので近くのピーク(山頂)である「榊山」へ行くことにしました。

▲手書きの山頂標識がないと、山頂とはわからなかったかも!?
榊山のピークは「日本で海岸線より一番遠い地点」からいったん群馬県との県境の尾根まで上がり、北に向かって20分ほど進んだところにありました。ただ、榊山までは道として整備されてはおらず、踏み跡(人の往来にのって踏み固められた箇所)もほぼありませんので、ルートファインディング(これから進む先のルートを見定めること)に自信がない人は避けた方はいいと思われます。
レポーターはGPSで現在地を首っ引きで確認しながらなんとか到達しました。そして、そこまで苦戦しながら到着したものの、特に眺望もない地味な山頂でした。

▲鈴なりの熊棚。1本の木に鈴なりなのは初めて見ました…
さらに、榊山までの途中にはこんな光景も…明らかに「熊棚」ですよね。昨今、熊が出たというニュースをよく聞きますが、市街地でも見かけるくらいですから、山登りでの熊の目撃情報も多くなっているようです。
自治体や各地のビジターセンターで熊目撃の情報を発信していることもありますので、皆さん山に登る際には、自分の訪れるエリアについて事前に調べてからお出かけください。
幸いにしてレポーターはまだ熊さんに出会ったことはありません(猿やシカはしょっちゅう)。今回のようにソロでの山行が多いので、熊対策の情報も収集しているのですが…実際に出くわしてしまったらどうなることやらです。
今回もビビってすぐに下山したのでした。
そんなこんなで「日本で海岸線より一番遠い地点」への訪問は無事に終了しました。到着してみれば、周囲は木々に囲まれていて眺望なく、山の山頂でもなく斜面にポツンとある場所ではありましたが…日本で唯一の場所を訪れたんだ! という達成感はありましたね。

▲佐久市から届いた認定証
また、佐久市では「日本で海岸線から一番遠い地点」へ到達した人に認定証を発行してくれます。名前、日付、郵送先、現地で撮影した写真をメールすると、認定証が送られてきます。
レポーターも帰宅後に到達時の写真をメールしました。そして後日届いたのがこちらの認定証です。皆さんも訪れた際にはぜひとも申請してください。
なお、今回の山行は2024年の10月後半のものですので、道の状況など変わっている場合があります。季節によっては積雪なども考えられますので、最新情報をお調べのうえ、お出かけください。
紹介したルートはあくまでも参考であることをご理解くださいますようお願いします。
ところで、「日本で海岸線より一番遠い地点」のある佐久市の旧臼田町エリアには、レポーターがぜひとも訪れたいと切望していたスポットがもうひとつありました。それが「龍岡城五稜郭跡」です。

▲日本にふたつある五稜郭のひとつが龍岡城
星形稜堡の西洋式城郭は函館の「五稜郭」が有名ですが、本州にもあるんですね。それが佐久市の龍岡城五稜郭です。
レポーターはへたれハイカーである一方、城郭めぐりが好きな“お城男子”なので、龍岡城五稜郭は前々からず~っと気になっていたのでした。
しかし、函館五稜郭へは何度か訪れているものの、龍岡城五稜郭にはその機会がなく…今回「日本で海岸線より一番遠い地点」を訪れたその足で、大喜びで立ち寄った次第です。

▲函館の五稜郭に比べると龍岡城はやや小ぶり

▲現地案内板によると、着工されたのは治元年3月(1864年)で、慶応3年4月(1867年)竣工。ですが、明治4年(1871年)に龍岡藩の廃藩にともない廃城となったとのこと
龍岡城五稜郭跡は、学校の敷地と2022年まで小学校の敷地に転用されていたのですが、今は廃校になったとのことで、貴重な遺構をじっくりと散策できました。

▲城跡の北側にある展望台からの眺め。せっかくですからもうひと登りはいかが?
さらには城跡北側の山(こちらも戦国時代の城跡!)に登ると、龍岡城跡を眼下に眺められる展望台があり、五つの稜が星形に突き出た擬洋式城郭のデザインをよ~く観察できたのでした。
<文・写真/阿波屋大膳亮>