今の20代、30代の人にとってカーナビといえば、1台のボディにナビとAVの機能を兼ね備えた「AV一体型」が当たり前だろう。しかし、このようなスタイルが一般的になったのは2000年代に入ってからだ。
AV一体型を現在のようなカーナビの一般的スタイルとして導いたのは、1997年にスタートした富士通テン(現在のデンソーテン)の「イクリプスAVNシリーズ」。
1997年当時のカーナビといえば、箱型の本体(多くは1DINサイズ)に5.8~7型程度の大きさのダッシュボード取り付け型モニターを組み合わせた「オンダッシュ型」が主流だった。
じつは「AV一体型」は2年前の1995年に日本初といえるカロッツェリアAVIC-XA1がすでにデビューしていたのだが、話題とはなるものの人気モデルとならず、ラインアップから自然と消えてしまっていた。
だが、イクリプスは1990年代の中ごろから標準装着化が進んでいたエアバッグの展開を妨げない安全性の高さや、多様化した再生メディアを取り入れた「AV一体型」をカーナビの理想形と考え、それまでのオンダッシュ型のみのラインアップからAV一体型を主力とするよう一気に舵を切った。このようなメーカーは前代未聞で、社内にも反対意見があったという。
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